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あなたは、自分の持っている能力をしっかり把握しているだろうか？自分のことなのだから自分が一番良くわかっていそうなものだが、実はそうではない。 ことわざに「火事場の馬鹿力」というのがある。通常、タンスなどは重く てとても持ち上がらない。しかし、ひとたび火事が起きて気が動転していると、普段持ち上げられないものをひょいと持ち上げてしまうことがある。この力が 「火事場の馬鹿力」なのである。平常、重い物を持ち上げようとしたときには、自分の意識外で「これ以上重たいものは持つな」と脳が早めにブレーキ命令を出 すから火事場の馬鹿力ほどの力は出せない。これは体に対する過分な負荷を避けるため、つまり体が簡単にオーバーヒートしてしまわないよう、安全なレベルを 脳が設定しているのであり、それはわれわれが持つ能力の限界よりずっと低いレベルに位置している。したがって、実際にはまだ持ち上げる力が残っているにもかかわらず、脳が設定したレベル以上の力は出せないものとわたしたちは思い込んでいるのである。 ところが火事などで気が動転していると、脳も慌ててしまいこの停止命令を出せない状態となる。その結果通常かかるはずのブレーキがかからず、本来持てる力の限界に限りなく近い力が発揮されるわけだ。 わたしたちは様々な場面で、この思い込みというこのブレーキを解除し、持てる能力を最大限発揮することに努めたい。 さて、事故の後遺症による肢体不自由の苦難に打ち勝ち、有名画家兼詩人 となられた星野富弘さんは、潜在能力を開花させた人の一人である。氏は大学を卒業後中学校の教諭になるが、クラブ活動の指導中に頸髄を損傷し手足の自由を 失った。その後絶望の淵から立ち直り、口に筆をくわえて字や絵を書き始め一流になられた。事故にあわなかったら、おそらくご自身も、絵や詩の分野における 現在のご活躍を予想することすらなかっただろう。 われわれには自分でも気づいていない未知なる能力が数多く眠っている。それは老いも若きも、学歴のあるなしにかかわらず、すべての人に少なからず存在する貴重な財産なのである。 宝の持ち腐れにならぬよう、せっかくの能力を自らの手で発掘しよう。

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